子犬の食事やフード選びのポイント、元気に育つ食育のススメ
子犬を飼い始めたとき、食事をどうしたら良いか悩んでいませんか?フード選びのポイントや、知っておきたい子犬の食事について、あじな動物病院からお伝えします。
1 子犬の食事のポイント
父ちゃんと暮らしはじめたときに、一番印象に残っていることは何?
お肉をくれたこと
ぼんちゃんは?
ボンちゃん、ボンちゃんって呼びながらゴハンをくれたこと!
ふたりとも、「食べ物」の印象が強いよね。人も犬も、食事について知ることはとても大切だよ。今回は子犬の食事のポイントを一つ一つまとめてみよう。
最初は子犬の食事の回数から。
子犬の年齢でゴハンの回数がかわるんだよ。
1-1 子犬の食事の回数
生後2ヶ月〜4ヶ月ぐらいまで
食事の回数の目安:1日4回以上
離乳をして子犬用(パピー)フードを食べ始めたばかりの頃は、胃腸がまだ成長途中です。一回にたくさんの量を食べられません。しかし同じ体重で比較したとき、この時期は成犬の2倍以上の栄養が必要です。
成犬の食事は1日2回が一般的なので、単純にその倍、1日4回以上の食事をとる必要があります。胃が弱い、胃の小さい犬はもっと回数が必要かもしれません。
生後4ヶ月頃から
食事の回数の目安:1日3回程度
成長期が終わる8ヶ月から12ヶ月頃までは、成犬の1.6倍程度のエネルギーが必要です。この頃から1日3回くらいの食事に変えていきます。4回のうち1回の食事を徐々に減らしていき、3回の食事で満足するか確認しましょう。
成長期が終わる頃
食事の回数の目安:1日1〜2回
オスかメスか、小型犬か大型犬かで、いつ成長期が終わるかはバラバラです。 小型犬で8〜12ヶ月 大型犬では16ヶ月頃までは成長が続きます。 1日3回の食事を持て余し始めたら、「あ、成長期終わったかな?」というサインです。1日2回、犬によっては1日1回に食事を減らしていきます。
1-2 子犬の1回の食事の量
次は子犬の食事の量について
僕の方が体が大きいのに、お兄ちゃんとゴハンの量が同じなのはどうして?
ボンがエラいからだよね♪
遊ぶ量、体の大きさ、筋肉の量、胃腸が栄養を吸収する力によって、1日に必要な栄養が違うからだよ。
子犬も違うの?
飼われている環境や犬種、遊ぶ量や胃腸の元気さによってゴハンの量を調節する必要があるよ。
子犬の基本的な食事量
ドライフードはフード1にぬるま湯3、缶詰なら缶2に対して水1で食事をふやかします。1回の食事の量は、ふやかした食事を犬の頭をお皿に見立てた量が目安です。
ドッグフードに体重あたりの食事の目安が書いてありますが、飼っている環境(温度、お部屋の広さや運動量、犬種や胃腸の元気さ)によって食事の量はかわります。
フリーズドライや穀物不使用の質の良い食事では、犬に与える量がドライフードの1/2~1/4で良い食事もあります。子犬の食事の量はゴハンのパッケージをよく読んでください。体重をこまめに測って、増えているかが食事の量を決める一つの目安です。
子犬の食事量を決めるポイントー体型
ボディーコンディションスコアと呼ばれる、見た目の体型を参考にして食事の量を考えます。動くと少しアバラ骨が見える、5段階評価で3から2の間、少し細身の「細マッチョ」を目標にします。
参考:ボティコンディション・スコア DSファーマヘルス、日本ヒルズ・コルゲート(株)
一般的な「子犬用」・パピーフードは、成犬用に比べてタンパク質・脂肪、食事のカロリーが増量されています。痩せてしまう心配より、太って関節の成長に負担をかけてしまう可能性の方が高いので、2-3割、パッケージより少なめ、「残さずゴハンを食べる量」を見つけてあげましょう。
(写真)あばら骨はうっすらみえるけれど、おしりや肩にしっかりと筋肉がついている理想体型
1-3 子犬のフード選びのポイント
父ちゃん、みんなドッグフード選びで 悩んでるけど、いい方法ないかなあ?
それじゃあ、ドッグフード選びのポイントをまとめてみようか。
パッケージの原材料に注目だよ。
フード選びは、まず原材料をしっかりチェックすることから始まります。ワンちゃんのゴハンを買いに行った際は、チェックポイントを覚えてフード選びの参考にしてください。
①原材料の最初と最後をチェック
食品の原材料は、使用している量が多いものから順にならんでいます(参考:消費者庁 食品表示「知っておきたい食品の表示」)。原材料の最初が穀物(小麦・トウモロコシ・米)のドッグフードは、タンパク源である肉よりも穀物を多く使用してフードを作っているため、人間よりも「肉食寄り」の犬にとって大切な良質なタンパク質が足りません。特に成長期は注意が必要です。
原材料の最後に「防腐剤」や「合成保存料」、「合成着色料」の名前が書いてあります。ここに防腐剤が入っている食事は避けましょう。(BHA、BHT、没食子酸プロピル、赤色102号、青色2号など)
②お肉の種類、油の種類がしっかり書いてありますか?
肉類、◯◯ミール、動物性油脂、植物油脂など、原材料のはっきりしないものは材料の品質がわかりませんので避けた方が良いでしょう。
材料に自信のあるメーカーは、「人間の食用に使われる鶏肉を使用して作られた、人工添加物不使用のフードです。原材料:鶏肉、ココナツオイル・・・」など、はっきりと自信を持って原材料が書いてあります。
③甘味料や保湿剤は中ほどに書いてあります。
人が食べるものもそうですが、質の良い食材はそのままでも美味しいものです。原材料のなかほどに「グリセリン、キシロース、ソルビトール、砂糖」など、「甘味料」を入れて甘くしてある食事は避けましょう。
成長期の子犬が「糖類」をたくさん取ることは肥満になりやすく、人工添加物が体の中でどう代謝されるのかは不明な点が多いため、避けるに越したことはありません。
④ドッグフード先進国、子犬フードにオススメの国
犬と暮らす文化が根付いている国、「犬」という生き物についての理解が深い国で作られた食事はとても質が高く、子犬にもオススメです。
・ドイツ
・ニュージランド
この2国のドッグフードは品質がとても高いです。
お肉となる鶏や牛や羊が、農薬のまかれていない放牧地でゆったりと草を食べて育っています。肉どころか家畜の食事=牧草に対する化学薬品も厳密にチェックされています。
このオーガニックの認定を受けた原材料を使ったドッグフードが、ドイツやニュージランドでは作られているのです。
子犬のフードに、原材料にオーガニックのものを使った、人間でも安心できるお肉や野菜を使った食事を与えると、安心して成長を見守ることができます。
お手本:ドイツのドッグフードの原材料
人工添加物が、一切入っていません。
1-4 子犬のゴハンはいつまでふやかすの?
成長期が終わるまでは、フードをふやかして与えて問題ありません。
子犬は「体を維持する量に栄養+成長に必要な栄養」を胃腸は消化をしなければなりません。成犬より胃腸のお仕事が多いのです。胃の中でドライフードが水分を吸ってふくらみ胃に負担をかけないよう、ゴハンはふやかしてあげましょう。
ちなみに、成犬もふやかしフードで全く問題はありません。胃の負担が軽減されるので、「吐き気」の出やすいワンちゃんにはおすすめです。水分がしっかりとれて体も潤います。
1-5 子犬のフードと一緒にあげた方がよいのはどれですか?
父ちゃん、子犬ってサプリメントいるの?
質の良い食事を食べていればいらないよ。
おしまい♪
子犬を購入したときに、ブドウ糖のシロップ、納豆菌や乳酸菌のサプリ、子犬のミルクにフードにかけるふりかけ、いろいろなものをすすめられます。
どれが本当に必要で、いつまであげたら良いのでしょう?
①低血糖を予防するためのブドウ糖 → 必要ありません
食事を4~5回食べることができていれば、低血糖の心配はありません。離乳間もない子犬が2-3回の食事しかもらっていない、あるいは低血糖を起こす「内臓の問題」があります。肝臓の発育が悪い、肝臓に奇形があるなどの問題です。
血糖値を維持するシステムに問題がある場合は、ブドウ糖で一時しのぎをするのではなく、獣医師の診断のもと治療を受ける必要があります。
またブドウ糖を与え続けると、血糖値が急上昇してすい臓に負担をかけます。脂肪やタンパク質を分解してエネルギーにかえる力が弱くなりますので、「犬としての健康な栄養の代謝」がうまくできなくなります。
子犬が毎食しっかり食べているなら、ブドウ糖はできるかぎり早くやめましょう。
②犬用の粉ミルク
離乳が済んでいるなら必要ありません。
③おなかの善玉菌
おなかで悪玉菌が増えて胃腸のトラブルを起こす予防になります。砂糖や合成添加物が入っていない製品なら、お腹の健康のためにあげてOK。
④その他の「サプリメント」
質の良い食事を取っていれば基本的に、犬のフードにサプリメントを加える必要がありません。サプリメントが必要ならば、そもそもフードを見直す必要があります。
ただし、フードやサプリメントでは補えない栄養があります。「生きている食材に含まれる元気な酵素、水分に溶け込んだ栄養素」です。乾燥したカラカラのフードやサプリメントではどうしても不足する栄養素です。
新鮮な野菜やお肉や魚、うずらの卵やヨーグルト、ハチミツなどの食材で補いましょう。
1-6 人の食べ物はあげてよいですか?
まずは子犬に絶対にあげてはいけない食材です。
- タマネギ、長ネギなどのネギ類
- チョコレート
次に気をつけたいのが味付けの濃い食べ物。照り焼き、濃厚ソース、激辛~、などはやめましょう。脂っこい揚げ物、炒め物もすい臓に負担をかけるので避けましょう。
ケーキ、生クリーム、アイスクリームなどの脂質が多い菓子類は、皮膚のベトベトトラブルが増えるのでおすすめしません。
味付けしていない野菜、お肉などはあげても問題ありません。喜んで食べるようならば、スティックにしたニンジンやブロッコリーの茎などは噛むオヤツがわりに、蒸したり煮たお肉は細かく切って、おトイレや爪切り、歯磨きのご褒美に使いましょう。
2 あじな動物病院の考える子犬の食事
ここまでは子犬のフードについての基本的なポイントをお伝えしました。
ここからは父ちゃんの考える子犬の食事について、お伝えするよ。
子犬と仲良く楽しく暮らす参考にしてね。
2-1 美味しい食事は脳を育てる ― 食育のススメ
犬と人の暮らしは3万~1万3000年前からと言われています。人の食べ残しを犬のご先祖さまからもらっていた時代です。
近代でも、ヨーロッパの狩猟犬は狩りの獲物の余りをもらい、日本犬はイノシシやクマの狩りを手伝って獲物の余りをもらったり、家の番をして人の食事の残りをもらって暮らしていました。
人と犬が暮らす、人と犬との絆作りに「人の食べ物」が仲介してきたのです。
現代でも、一緒に暮らし始めたばかりの子犬との絆作りに、美味しい食べ物を使わない手はありません。
①脳を元気にする美味しい食材
人も犬も、美味しい食べ物を口にしたとき、脳からドパミンというホルモンが出ます。
ドパミンは脳の血流を良くしたり、「学習」の効率を高めてくれます。人から「おいしいもの」をもらうことでドパミンが脳で放出され、子犬は新しいことを楽しく学んでいきます。
ドパミンは大好きな人といることでも脳から放出されます。あなたが美味しい食べ物をくれる大好きな人になれば、ドパミンやオキシトシンなど、体に良いホルモンが脳からどんどん放出されて、子犬が元気に楽しく成長していきます。
これが毎日同じフードと水だけの生活だとどうでしょう?脳は特に食事で刺激を受けることもなく、美味しいも楽しいもありません・・・。
脳が元気に楽しく発育するために、子犬にいろいろな食材をあげたり、トイレができたら美味しいご褒美をあげましょう。子犬の脳がすくすくと元気に成長していきます。
②美味しい生活のはじめ方
まずは美味しそうに草をはむ犬をご覧ください。
今日はニンジン、今日はブロッコリー、今日はゆでたササミ。最初は一日に一つずつ食材あげてみましょう。
いきなりお肉に野菜にチーズに・・・と食事にトッピングをすると、お腹がビックリすることがあります。
一つの食材について、次の日に出た便を観察し、子犬の体がビックリしていないか確認します。便がゆるくなる、おならが増える、吐き戻してしまう食材は控えた方が良いでしょう。
新鮮な生きた食材は栄養の宝庫です。酵素もビタミンも空気に触れて錆びてしまう前に、犬と一緒に美味しくいただきましょう。
③子犬が大好きな<とっておき>を見つける
いろいろ与えた食材の中から、ワンちゃんが大好きなとっておきの食材を見つけます。レンジでチンしたササミ?赤身の牛肉?無添加のチーズ?
とっておきのオヤツを、トイレが出来たときのご褒美、歯磨きの練習、爪切りの練習や耳をさわるときの練習に使うと、子犬が楽しく覚えられますよ。
2-2 食事を器であげるのはもったいない、絆(きずな)づくりにゴハンを使おう
子犬が人と暮らし始めたとき、子犬にとって飼い主は突然やってきた「宇宙人」と変わりがありません。一緒に暮らす幸せな存在に、一日でも早くなる秘訣。それは食事をうまく利用することです。
お皿に食事を入れてしまうと、飼い主さんがゴハンをくれた数は「1」です。ゴハンを手に握って、一粒ずつあげてみると、子犬がもらった数は「数十~数百」です。たくさんもらえばもらうほど、「ゴハンをくれる人」という子犬の認識は強くなります。
器に食事を全て入れてしまわずに、手から名前を呼んで笑顔でゴハンをあげてみましょう。子犬が飼い主さんをゴハンをくれるスゴい人!と認識するまでのスピードが、格段に早くなりますよ。
2-3 「かじる」は楽しい遊びと運動
子犬はなんでもかじって試します。食べ物以外もドンドンかじります。遊びでもあり、探検でもあり、好奇心のまま、とにかく「かじって」みるのです。
かじりながら、食べて良いのか、かじって良いのか、かじって楽しいのか覚えていきます。
かじって良いオモチャをたくさん用意して遊んであげ、そしてかじって良い「オヤツ」を準備して「かじる・おいしい」遊びを覚えてもらいます。
子犬にオススメのかじるオヤツは、
- 野菜のスティック
- 凍らせたお肉スティック
- アイスコング
などです。こちらがアイスコング↓
アイスコングは、「お留守番の前にケージの中に入れて、一生懸命かじっている間に出かける」などの使い方が出来ます。
凍らせたお肉であれば誤って丸呑みしても、溶けてしまえば問題ありません。骨や骨型のオヤツをあげるより安全です。
ガジガジかじることで、脳からはセロトニンという物質が放出されます。精神の安定や、心の安らぎに関係している、幸せホルモンの一つがセロトニンです。
子犬は楽しくかじって育つことで、精神的に安定した成犬に育つのです。
噛むオヤツ、噛んで楽しいオモチャで一緒に遊び、犬に「噛む幸せ」をタップリあげましょう。
3 まとめ
子犬の食事のポイントは、
- 添加物の入っていない質の良い食事
- 成長に合わせて回数と量を調節
- 成長期が終わるまではふやかして
あじな動物病院がオススメする子犬の食育のポイントは
- いろいろな食材で脳においしい刺激を
- とっておきの食材をみつけて、いろいろな練習に使おう
- 食事は一回に器に入れず、名前を読んで笑顔でポンッ
- 「かじること」は心を育てる子犬の楽しい遊びです、おいしい噛むおやつをあげましょう
おいしいゴハンで元気な体づくりを、楽しい食事で犬との絆を作りましょう!
仔犬の食事で悩んだら、あじな動物病院へご相談ください
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