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プロフィール

今を遡ること40ウン年。
暇さえあれば野山を走り、
図鑑で見た昆虫を追いかけた子供時代。
少年が巣から落ちたスズメを保護し、
産毛も抜けて大人になろうかというある日、
「グェッ」と奇妙な声をあげて目の前で突然死んでしまいました。

「僕のスズメに何が起こったの?」

その命への問いが、
獣医師、中西遵の原点となっています。

 獣医師になりキャリアが7-8年を迎えた頃、当時最先端の治療「活性化自己リンパ球療法」を担当することになりました。体の中にいるガンと戦う細胞を血液から取り出し、大量に増やして点滴で体に戻してあげるという治療です。自分の細胞を増やして点滴するので、副作用もほとんど無くガンの治療としては革新的なものでした。しかし周囲の期待とは裏腹に、末期がんの動物ではガンと戦う細胞がなかなか増えません。

ガンと戦う細胞が目に見えて弱っている…。なぜ

 免疫増強剤、サプリメントなどなど、リンパ球が増えると言われるものを探す中で出会ったのが「漢方薬」でした。漢方薬を使うと、食欲が戻り、横たわっていた体を起こして散歩をおねだりするようになる犬もおりました。 ガンという病気が、癌細胞が存在することだけが問題なわけではない。犬の体が弱っており、ガンと戦う免疫の細胞もまた弱っていたのです。

弱っている免疫細胞を元気にする漢方薬。
弱った犬の体を元気に出来る薬草の力

これが私と漢方薬との出会いであり、東洋医学を本気で勉強する転機となりました。

 同じ頃、妻の体調が思わしくなく、ひどい日は夕方まで動けないという日が続いていました。いくつもの病院を巡るも打開策が見えない日々。

西洋医学の検査では診断がつかない、この状態をどうしたらいいのか。

 ふと浮かんだのは、ガンの犬が元気になった漢方治療が妻にも効かないか?という考えです。難病を漢方で治療している先生が近くにいないか、必死で探しました。向かったのは茨城県にあるK病院。診察室に入って会話をするだけでもこちらが落ち着いてしまう、物腰がとても柔らかい初老の先生に診察して頂けました。
 3年という時間が必要でしたが、K先生の処方する漢方の煎じ薬のおかげで外で働けるようになるほど妻は元気になりました。K先生こそが、私の目指す医家の姿となりました。ちなみに内視鏡の検査をし、行列の出来る病院に通っても改善しなかった私の慢性胃炎も、漢方の煎じ薬を飲むことで半年もせずに治癒。胃炎の漢方を飲んでいたはずなのですが、魚の目まで消えてしまい、漢方の不思議さを痛感したものです。
 西洋医学では、検査でわかった「病気の名前」があって、「治療」が決まります。東洋医学では、「症状」を集め、脈をとり、お腹を触り、舌を観察、バランスが崩れている内臓を調節することで、体が持っている本来の治癒力を引き出します。

「なぜ調子が悪いのに病院の検査ではわからないの?」

その問いの答えを、東洋医学が与えてくれます。

 漢方を動物の治療に取り入れ、治せる病気が増えて喜んでいたある日、夫婦で大切にしていたポメラニアンが右足をかばって歩いていました。爪の根元が赤く腫れています。急いでレントゲンを撮りましたが、爪の根元に亀裂のようなものが見える程度。爪をどこかに引っ掛けてしまったのかと、抗生物質と痛み止めを飲ませ様子を見ていました。
1週間、2週間…。
 治るどころか痛みも腫れも増すばかり。まさか…。背筋の凍る予感がしつつ、もう一度レントゲンを撮りました。指の骨が溶けている…。進行性のガンの典型的な所見。たった2週間。そう、爪の根元の亀裂のような物が、実は癌の始まりでした。
 子供のように可愛がっていた愛犬と、まさか5年で別れを迎えるとは全く想像もしていませんでした。生きて元気でいてくれることが、どんなに大切なことか。ゴハンをむしゃむしゃ食べること、家に帰るとシッポをフリフリ出迎えてくれることが、どんなに幸せだったのか。亡くして骨身に染みました。
 飼い主の方の病気が治って欲しいと願う気持ち、ガンでもどこかに良い治療があるはずと必死に探す気持ち、私は今まで全くわかっていなかったことに気づかされました。
 それからは、何がガンを作るのか、ガンに負けない健康を作るにはどうしたら良いのか、漢方治療だけでなく、薬膳を基本とする食事、鍼治療、本当に動物の役に立つものは何かを求めて勉強を続けてきました。

「少しでも元気に、そして長く、動物と飼い主さんが一緒にいられる方法を探し続ける。」

それが、虹の橋を渡った愛犬への誓いです。

 決して西洋医学を否定するわけではありません。私は超音波の検査(エコー検査)が大好きです。動物に一切の苦痛を与えることなく、体の中をリアルタイムでのぞくことが出来る素晴らしい検査機械です。それぞれに長所と短所があります。

西洋医学
得意・病気を目で見てわかる
 画像で見える検査-レントゲン、超音波検査、CT、MRI
 数値で見える検査-血液検査
・菌を殺す、ガンを切り取る、病原体への「攻撃」が得意
苦手・科学で解明されていない病気はわからない、治療できない
東洋医学
得意・症状を治療するのが得意 ー 気持ちが悪い、めまいがするなど
 検査で病気がわからなくても治療できる。
・弱った体を支える、足りないものを補う、「防御」が得意
苦手・検査結果が「見えない」ので飼い主さんにわかりにくい
・やっつける相手がはっきりしている病気(ある種のガン、感染症)は、
  西洋医学の方が即効性がある、切れ味が良い

 西洋医学と東洋医学、得意な所を合わせれば、攻撃も防御も出来ます。病原体をやっつけながら、弱った体を元気に出来る。治せる病気が増える、予防できる病気が増えるのです。動物のために良いとこ取り。
 エコー検査で動物に負担をかけずにガンを探したり、副作用の強い薬をなるべく減らすために、漢方薬を使ったり、食事に薬膳を取り入れたり、動物と飼い主さんが出来ることの中から、「今より良くなる」ことを探しだすのが私の仕事です。

✓ガンの末期でもう治療法が無いと言われた。
✓アレルギーがあり薬を飲んでいるが副作用が心配。
✓病気がわからないがずっと調子が悪い。

そんな悩みを抱えている飼い主さんに、具体的で新しい選択肢をお伝えすること。「関わる全ての動物と人に、もっと元気を。」これが私のミッションです。

 健康な体は、元気で美味しい食事から。バランスが崩れたなら、足りないものを補って、余分なものは体から追い出す。難しいことはありません。いつも健康で動物病院とは縁がない、犬がいつもあなたと一緒に過ごせる明るい未来。あなたと暮らす動物達に、今より良いことは何か、西から東から、様々な視点で一緒に探してみましょう。
 あなたが私のメッセージに少しでも共感してくださるなら、私は精一杯、あなたと動物の力になりたいと思います。長い文章を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

あじな動物病院 院長 中西 遵

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私がこの記事を書いています

釧路市生まれの旭川育ち。2000年北海道大学獣医学部卒業。広島県廿日市市あじな動物病院の院長。また一緒に歩こうを合言葉に、椎間板ヘルニアの犬に鍼治療を行い、元気になったワンちゃんには体を丈夫にするお手伝いを「あじなのお食事相談」にて一緒に考えてまいります。

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