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治りにくい犬の咳に漢方治療:実際の症例に効果的だったアプローチ

 愛犬の咳が治療してもなかなか改善しない場合、西洋医学の診断だけでなく、東洋医学の視点からも咳の原因を考えてみましょう。以下にあじな動物病院で慢性の咳に漢方薬を用いた実際の症例をいくつかご紹介します。

肺衛気虚の咳
・13歳のトイプードル女の子
・鼻炎と歯周炎、皮膚の湿疹を繰り返す
・春と秋に咳が出る
・季節の変わり目に鼻からのど、そして気管まで炎症が広がる
・西洋医学的診断は気管炎

 このワンちゃんの咳の原因は、のどだけではなく皮膚や歯茎、体を守るバリア機能が弱いことにあります。東洋医学では「衛気虚」と呼ばれる体を防衛するエネルギー(気)が弱い状態(虚)です。いくつかの漢方薬を服用してもらったところ、「参蘇飲」という漢方薬で咳が改善しました。

気逆の咳
・同じく13歳のトイプードル女の子
・活動的で激しい咳が止まらなくなる
・咳止めを注射して一時的な改善
・気管炎の診断

 このプードルさんには、「蘇子降気湯」という漢方薬を服用してもらいました。「活動的」なワンちゃんは、体のバランスが崩れると症状が激しく出る傾向があります。今回は咳を出す神経が過剰に興奮しているため、上に咳を出す神経の興奮をなだめて下に降ろす「降気」作用のある「蘇子降気湯」が効果的でした。

肺腎陰虚の咳
・11歳のトイプードル女の子
・つまずきがちで皮膚が乾燥している
・気管が細く、他院で気管炎の薬を服用中
・服薬をやめるとすぐに再発する

 このワンちゃんではのどの潤いが足りずに咳が出ていると判断し、呼吸器の潤いを保ち(養陰)気管の炎症を抑える(清肺)養陰清肺湯で治療しました。咳が落ち着いた後は、つまずきがちで皮膚も乾燥していたことに着目し、体を潤しながら東洋医学における「腎」を元気にする=足腰を強化する「麦味地黄丸」に漢方薬を変更です。その後、1年ほどで全ての症状が改善しました。

 このように、西洋学医的には同じ「気管炎」と診断された治りにくい犬の咳でも、東洋医学的なアプローチで適切な漢方薬を使用することで症状を改善することができます。(他には桂枝湯、葛根湯、麻杏甘石湯、通導散、半夏厚朴湯、六君子湯、補中益気湯、香蘇散、八味地黄丸などを使用しております。)
 もし愛犬の咳が治らずお悩みの際は、診察の予約をお取りいただくことをお勧めします。

あじな動物病院の電話番号は
0829−39−6292

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私がこの記事を書いています

釧路市生まれの旭川育ち。2000年北海道大学獣医学部卒業。広島県廿日市市あじな動物病院の院長。また一緒に歩こうを合言葉に、椎間板ヘルニアの犬に鍼治療を行い、元気になったワンちゃんには体を丈夫にするお手伝いを「あじなのお食事相談」にて一緒に考えてまいります。

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