犬の震えが止まらない!あわてる前に

遵先生
こんにちは、あじな動物病院の中西です。
エルくん
エルガーです。首の痛みで震えが止まらなくなったことがあるよ。
ボンちゃん
ボンです。窓際で寝ていて寝違えました。
遵先生
今回は犬が突然ブルブルと震えているのをみつけたとき、原因を見分けるポイントや対応など、「犬の震え」についてお伝えします。

1 犬が震えているとき、最初にすることは?

遵先生
犬が震えているのを見つけたら最初に何をする?

エルくん
父ちゃんを呼ぼう!
ボンちゃん
みんなが遵先生を呼べるわけじゃないんだよエル。
遵先生
まずは犬が震えているときに確認してほしいポイントをお伝えします。

1−1 犬が震えているとき、最初にすること

愛犬が突然震えだして止まらないとき、以下のリストをチェックして震え以外の症状が無いかを確認してください。

・熱がある
・触ると痛そうに鳴く
・吐き気、嘔吐
・下痢をしている
・よだれが止まらない
・飲み込む仕草を何度もする
・眠れない
・立ち尽くして座れない、横になれない
・他に病気を持っている、治療している
・呼びかけても反応しない
・舌の色がいつもと違う
・震えが止まる様子がない
・最近疲れやすい、動きたがらない

震え以外にも症状があれば、それは病気のサインです。痛みや発熱をともなう病気は、少しでも早く治療することが回復には大切です。

1−2 震えている犬を観察するポイント

あなたが震えている犬を動物病院に連れて行ったときに伝えたい情報についてまとめました。動物病院を受診したときに緊張してうまく情報を伝えられないことがあるでしょうから、メモ書きにして持っていくと良いでしょう。

・いつ震えが起こったか?
 (外に連れ出した、クーラーの効いた部屋にいた、暖房をつけずに外出した、拾い食いをした後など)
・どこが震えているか
 (全身、頭、首、腰、足?)
・震えはどのくらい続いている?
 (病院にくるまで止まらない、病院にきてもっとひどい、抱くとおさまるなど)
・震える前に思い当たる変化はある?
 (雷、花火の後、温度の変化、ドッグランで他の犬と遊んだ、高いところから飛び降りた)
・家族で薬を飲んでいる人は?
 (一部の薬を誤って飲むと、震えや痙攣を起こします)
・他に病気を治療している?
 (腎臓、肝臓、心臓など)

 

1−3 動物病院へ連れて行く時に気をつけたいポイント

動物病院へ連れて行く時に、犬の症状を悪化させないために気をつけたいことがあります。

・どこかに痛みがありそうなときは、やわらかい毛布やフリースを敷いたケージへ入れてそっと移動する
・鼻水がたくさん出ている、足や頭が冷たくて震えているときはバスタオルやフリースでくるんで保温する
・原因がわからないときは、優しい声をかけて気持ちを落ち着けながら移動する
 どこかを痛めているケースがあるので、あまり頭や体をさすったりはしない

優しくそっと動物病院へ移動しましょう。

2 犬がふるえる原因は?

ボンちゃん
父ちゃん、犬が震える理由って何?
エルくん
首が痛いときは震えが止まらなかった。
遵先生
犬は痛みや熱があるときに震えが止まらなくなるケースが多いよ。次は震える理由、震えを起こす病気について説明しようか。

2−1 犬が震える理由

犬がふるえるのは、
・体温を維持するために筋肉を震わせて熱を作り、体温を上げている(寒さ、発熱)
・体のどこかに怪我や病気で「炎症」があり、その炎症が神経や筋肉を刺激して筋肉を震わせる(特に痛み)
・風邪をひいてこれから熱がでるときの「寒気(さむけ)」で震える。
・年を取って筋肉が落ち、バランスが取れなくて震える
・花火や雷など、犬には全く理解出来ない突然の大きな音や衝撃による恐怖・不安
このような理由です。

ふるえ、振戦がみられる「病気」を、獣医さんの教科書から引用してみましょう。

頭の振戦 
 脳の問題 : 変性性、先天性、炎症性、免疫介在性、中毒
 特発性 : ドーベルマン・ピンシャー、イングリッシュ・ブルドッグ
 遺伝性
 感染性脳炎 : ジステンパーウイルスなど
 薬物 : ドキソルビシン、ジフェニルヒダントイン、メトクロプラミド
後ろ足の振戦 : 虚弱や痛み
 代謝性 : 腎不全、上皮小体機能低下症、低血糖
 神経根や脊髄の圧迫 : 腰仙狭窄、馬尾症候群、脊髄腫瘍、椎間板脊椎炎
 末梢神経症: 神経接合部異常、筋症(ミオパチー)
 下半身の筋への低灌流 : 動脈管開存症の右左シャント、他の心臓や肺の疾患
 原因不明 : 高齢犬の後肢振戦
全身の振戦 : 低髄鞘形成
 中毒 : 有機リン酸エステル、ヘキサクロロフェン、ブロメタリン殺鼠剤、内・外用殺虫剤(モキシデクチン、イミダクロプリドなど)
 変性性神経疾患 : 貯蔵病、ラフォラ病、海綿状脳症
 特発性全身性振戦症候群 : White Shaker dog syndrome ホワイトシェーカードッグ症候群

Blackwell’s Five-minut Veterinary Consult: CANINE AND FELINE fifth Edition, Larry P.Tilley and Francis W.K. Smith, Jr Wiley-Blackwell出版より引用

このリストは筋肉が犬の意図と無関係に震える「振戦-tremor」を起こす病気のリストです。犬がガクガク震えている「震え shiver,tremble」も加えると、考えられる原因は膨大なものになります。

病気の特定は獣医さんのお仕事ですが、おおまかに「痛み」なのか「発熱」なのか、あるいは寒さなのか、犬が震えるおおまかな原因を見分けるポイントを見ていきましょう。

2−2 ふるえを見分けるポイント

犬が震えているときに確認してほしいのは、
・体を触ると痛みで鳴いたり、体に力がはいってこわばってしまう場所がないか
・体温ー頭や耳が熱くないか、逆に耳や足の先が冷たくなっていないか
・呼びかけ反応するか(意識がハッキリしているか)
この3点をまず確認してください。

2−2−1 痛みがないか?

首を痛めているときは、首の筋肉に力が入って首から肩の震えが強くなります。うつむいて立ち尽くし眠れないことも。腰を痛めているときは、腰に力が入ってふるえ、背中を丸めたりします。

お腹が痛いときは全身を震わせ、お腹に触れるとお腹の筋肉に力が入ります。お腹に痛みのあるときは緊急性が高い病気(急性腹症)が含まれるため、特に注意が必要です。

痛みで鳴く犬と、震えながら黙って我慢する犬がいます。黙って耐えるタイプの犬は病気の発見が遅れがちなので注意が必要です。

2−2−2 熱はないか?体温は?

病気で熱があるときには犬の頭や耳が熱くなります。いつもより頭や耳を触ると熱く、息遣いが荒いなと感じたら、発熱している可能性があります。

逆に寒くて震えているときは、耳や足先が冷たいです。

2−2−3 呼びかけに反応するか?

犬が震えているだけであれば、意識がしっかりしているので声をかけるとしっかり反応します。

声をかけても反応せず、体の一部、あるいは全身の筋肉が勝手にブルブル震え続けるときは、「ケイレン発作」、「てんかん発作」が起きている可能性があります。ある一定の時間でおさまることが多いのですすが、痙攣やてんかん発作を起こす原因がどこにあるのか、脳や神経、内臓やホルモンバランスなど、発作の引き金になる要因を特定する必要があります。

痙攣やてんかん発作がいつまで待っても止まらない場合は緊急処置が必要ですので、すぐに動物病院へ連絡しましょう。

3 犬がふるえる原因と対応

ボンちゃん
犬が震えていたら、色々なことを考えないといけないんだね。
エルくん
難しいことは獣医さんにまかせた方がいいねえ。
遵先生
あくまで震えは病気のサインの一つだからね。いろいろなことを総合して病気か判断しなくちゃいけないんだ。もう少しくわしく犬が震える原因と対応について考えてみよう。

3−2−1 痛み(首や腰の痛み)

あじな動物病院では針治療を行っているため、首や腰の椎間板ヘルニアの痛みで犬が震えて来院するケースがとても多いです。震えとともに首や腰の筋肉のこわばりが見られ治療をしても2〜3週間も痛みが続く場合があるので注意が必要です。

同居の犬やお友達犬とじゃれ合っている際に首や腰を痛めたり、散歩中に他の犬にビックリして怪我をしてしまい、痛みから震えが出ることも。首や腰の筋肉が突然こわばって痛みが出てしまう(寒さや湿気、長時間車の窓から顔をだしてずっと風にあたっていたなど)犬もいます。

犬が震えるほどの痛みが首や腰にあるときは、早くに治療して犬の苦痛を取ってあげましょう。

対応:傷みをやわらげ、筋肉のこわばりを取る注射や飲み薬・漢方薬、あるいは針治療などを行います。自宅では痛そうな場所はなるべく触らず、対応は獣医さんに任せた方が無難です。

予防:フローリングでの生活は要注意。犬が滑って日頃から腰に負担をかけやすいです。フローリングの部屋にソファやベッドがあるときは、登るときの腰の負担、着地時の首や足への負担が多く、特に注意が必要です。頭が大きく体の小さい超小型犬は要注意。

じゅうたんやマットを敷く、犬が滑らないワックスを塗る、ベッドやソファに犬用の階段をつけるなど、首や足腰への負担を減らしましょう。

3−2−2 痛み(おなか)

おなかが痛くて震えているときは重い病気が多く注意が必要です。
・急性膵炎
・腹膜炎
・消化管穿孔、消化管イレウス
・胆嚢炎、胆嚢破裂
・子宮蓄膿症、破裂
・臍ヘルニア、鼠径ヘルニアの嵌頓
・血栓症
・出血性大腸炎
・胆管結石、尿管結石、尿道結石

ここにあげた病気は一例です。緊急手術が必要なケースもあるため、震えがあってお腹に触れると痛がる、異常にお腹に力が入っているときは、とにかく早く動物病院へ。

対応:お腹をなるべく触らないように動物病院へ移動。迅速な診断と治療が必要。

予防:元気なうちにレントゲンや超音波検査、血液検査などを受け、弱っている内臓、結石がないかチェックしてもらいましょう。

3−2−3 発熱

菌やウイルスなどに感染してしまうと、外敵をやっつけるべく体は熱を出します。「発熱」です。筋肉を震わせて熱を作り、体温を上げます。特に感染症の初期、これから熱が上がっていく段階、人が「寒気」を感じる時期は震えが強く出ます。

熱が出す病気の原因を治療しなければ熱は下がりませんので、動物病院を受診して治療を受けましょう。

対応:透明な鼻水が出て、かつ震えているときは「寒気」を感じています。この場合は首を冷やしたりしない方が良いです。頭を触るととても熱く、首を冷やすと呼吸が落ち着いて気持ち良さそうにするときは、首だけ冷やしてあげましょう。

予防:シャンプーや川や湖で遊んだあとに体を冷やしてしまい、風邪を引いて熱を出るケースがあります。濡れたあとはしっかり乾燥しましょう。ドッグランやドッグショー、ペットホテルや動物病院、ペットショップ、犬が集まる場所へ行くときは、くしゃみ、鼻水、咳のある犬がいないか気をつけてください。

3−2−3 寒さ

つるっとしたスムースコートで寒さが苦手な犬種がいます(イタリアングレーハウンドなど)。また老齢になり、筋肉が落ち、新陳代謝が落ちてくると寒さに弱くなります。超小型犬も体が小さい分体温が下がりやすいため注意が必要です。

対応:おなかまでおおうような服を寒い季節は着せてあげましょう。老犬は煮込んだゴハンや鶏肉、生姜など、体を温める食材を積極的に食事に盛り込みます。胃腸に負担が少なくすぐにエネルギーになるココナッツオイルなどもオススメです。

犬の油についてはこちらの記事もご参考にしてください。↓

 

3−2−4 老齢

犬が年をとってくると、筋肉が落ち、神経と筋肉のやり取りがうまくいかなくなってゆきます。筋肉の衰え、神経の老化から後ろ足がガタガタを震えたり、頭がカクカク震えたりします。

対応・予防:散歩にたびたび連れ出してあげ、立つ・歩くことを大切にしましょう。色々な臭いを嗅がせて脳・神経に良い刺激を与えることも、衰えをゆるやかにするために大切です。お魚の油(フィッシュオイル)など、脳や神経に必要な栄養を積極的に補うことも、老化を遅らせる助けになります。

3−2−5 中毒

公園のベンチの下、生け垣の中に頭を突っ込んだ後、夜の散歩で突然立ち止まり何かモグモグしていた、その後に突然震えだすようならば、「中毒」を疑う必要があります。

ふるえだけではなく、
・吐き気、嘔吐
・よだれが止まらない
・黒目が開いている、逆に黒目が小さくなる
・心臓が異常にバクバクしている

震え以外に症状が出ているときは緊急性が高いです。中毒の治療は時間との戦いとなりますので、いそいで動物病院へ行く必要があります。

予防:散歩中はたえず犬の動向に注意しましょう。ベンチの下、草薮の中は要注意です。木の実、草の実がたくさん落ちている散歩コースを避けましょう。

3−2−6 恐怖・不安

留守番中に花火や雷など、突然大きな物音がした場合、あまりの恐怖にガタガタと震えが止まらないケースがあります。優しい声をかけながら落ち着かせてあげましょう。

対応・予防:安全に隠れられる場所、逃げ込む場所を作りましょう。花火大会など、あらかじめ予定がわかっているときは、花火の音がしない所まで一緒に避難することも大切です。

犬に花火や雷を理解することは不可能です。「行動カウンセリング・行動科」のある動物病院に相談し、不安を減らすお薬や対応について聞いてみましょう。

4 まとめ

犬が突然ガタガタと震えているとき、痛み・発熱・寒さ・恐怖・・・etc、いずれにしろ犬に助けが必要なサインです。

・震えの他に症状はないか
・触って痛がるところはないか
・頭や耳が熱くないか、逆に冷たくはないか

どんな状況で震えているかを把握して、獣医さんと一緒に犬が震えている原因をしっかり見極めて、対応をよく相談しましょう。

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